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御茶ノ水妄想研究所
2009/03/15 ●海賊の武器(自動小銃編)

  海上自衛隊の護衛艦2隻(汎用護衛艦 Destroyer DD-113 さざなみ、汎用護衛艦 Destroyer DD-106 さみだれ)がソマリア海域に向け呉基地を出発しました。隊員の方の御苦労に感謝するとともに、無事任務を果してきていただきたいと切に祈念いたします。

さざなみ.jpg

さて今回はソマリアの海賊の持つ武器についてちょいと解説。新聞、TV等で「ロケットランチャー等の重火器で武装しており・・・」と報道されていることもありますが、基礎的なところを押さえておきたいと思います。

まずは重火器と小火器の違い

WIKIによれば、重火器(じゅうかき)とは一般的には地上部隊が使用する火器のうち、砲兵等の専科兵が運用するものすなわち榴弾砲、カノン砲、臼砲、地対地ミサイル、地対空ミサイル(個人で携行できるものを除く)などを指す。
重火器に対し、歩兵科で扱う火器を小火器という。砲兵が使用する火器であっても個人防衛用に使う拳銃・小銃・短機関銃などは重火器には含まない。また、砲であっても歩兵砲や迫撃砲は小火器に分類される。
とあります。

つまり、海賊は高速のボートで接近して、獲物の船に乗り移るわけだから当然小火器。具体的には、最大のものでも軽機関銃。ロケットランチャーと呼ばれるものは個人で持ち運べるロケット発射器を指します。

つぎに機関銃について

またWIKIから
機関銃(きかんじゅう)とは、小銃弾以上の大きさの弾丸を連続的に発射できる銃のことである。引き金を引き続けるだけで、弾丸が自動装填され連続して射撃できる。(映画なんかでおなじみですね)
機関銃も据え付けて撃つ重機関銃から一人で持ち運べる軽機関銃まであるが、海賊が手に入れやすく揺れるボート上で撃つことを考えれば短機関銃、または自動小銃
この二つは連続した弾を発射できることから機関銃のような扱いをされているが、威力が小さく、連続発射できる数も少ない。
ちなみに機関銃と機関砲の違いは12.7 mm以下は機関銃 (Machine Gun)、20 mm以上が機関砲 (Cannon) です。

写真を見てもらえればわかりやすいかと。まずは、軍の装備で一般的に機関銃と呼ばれるもの

■汎用機関銃
アメリカ陸軍 M240 口径7.62mm ベルト給弾 750発/分  汎用機関銃.jpg イラク、アフガンで使用中なのでおなじみですね。このように車両や、航空機、ヘリコプターに据え付けて使用します。重く反動が大きくてボートではちょいと無理かと。

■軽機関銃
アメリカ陸軍 M60  口径7.62mm ベルト給弾 550発/分

M60.jpg

ランボーが撃っていたのはこれ。普通は据え置きで撃ちます。このタイプも海賊には重すぎてちょっと無理。

■短機関銃
イギリス製 M3 短機関銃(M3 Submachine Gun)口径9mm マガジン 400~450発/分 有効射程50m

M3.jpg

薬師丸ひろ子のセーラー服と機関銃で「カイ・カン」はこの短機関銃です。まあ拳銃(ピストル)の延長です。射程が短く海賊が遠距離から撃って効果のあるものではありません。

では本命は

■自動小銃(歩兵用突撃銃、アサルトライフル)

AK-47 通称「カラシニコフ」 口径7.62mm マガジン 600発/分 有効射程 600m

AK-47.jpg

超有名、1947年設計の旧ソ連軍の制式歩兵用突撃銃。第二次大戦以降の戦争映画には必ずといっていいほど登場します。上記機関銃とくらべれば小ブリですね。連射できるライフルと言えばわかりやすいかも。

旧ドイツ軍のアサルトライフルに影響されて製作された多少重いが信頼性が高く、多少の泥や砂、高温または寒冷地における金属の変形、生産時の技術不足による部品精度の低下が起きても、きちんと動作する設計&構造。また、銃を扱うのが初めての人間でも数時間から数日間の講習を受ければ、100m先のマンターゲットに命中させられるようになるという。まさにテロリスト&ゲリラ、海賊にうってつけ。

当然構造が簡単な分、生産にも適していて、鍛冶屋さんでも作れるらしく(オウム真理教も作ろうとしていたくらい)非正規品を含め全世界で1億丁ほど出回っているそうな。価格もたったの30ドル程度で激安、まさにテロリストの必需品。
ここでも中国製が幅をきかしているらしく、ライセンス切れなのに今でも生産を継続中。でもやっぱり正規品と比べて品質が悪いとのこと。ロシア製の正規品の流通量はたったの12%程度らしい。

正規軍の装備に比べれば、とるに足りませんが、警察の拳銃(ニューナンブM60 9mm拳銃弾 有効射程 50m)では射程、威力とも勝負になりません。
日本の警察(海上保安庁)の装備でなんとか渡り合えるのは

89式5.56mm小銃 口径5.56mm マガジン 650~850発/分 有効射程 500m 調達価格 29万円/1丁

Type_89.jpg自衛隊ならびに警察のSATならびに海上保安庁が装備しています。これとて威力、射程とも劣ります。ましてや、正当防衛や各種制約でがんじがらめの日本と、なんの制約もない海賊では厳しいものがありますね。

海上自衛隊は哨戒ヘリSH60K(哨戒とは見張りのことです)に上記M240 口径7.62mmを搭載し、海賊が接近してきたら威嚇射撃をする予定らしい。

 哨戒ヘリSH60K.jpg

M240SDF.jpg

海賊がAK47だけなら大丈夫かもしれませんが、RPG7で撃ってきたら・・

ロケットランチャーについては次週へ続きます・・・


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